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自らの研究成果で、スマートシティの実現を加速させたい。

大学院 理工学研究科修士課程 電気電子情報工学専攻2年 秋山 久遠 さん

私が所属する社会情報ネットワークデザイン研究室は、情報ネットワークで社会をデザインすることをテーマとした研究を行っています。具体的な研究としては、スマートシティの実現を目指し屋内外での社会実験などを行っています。研究室で掲げているスマートシティとは「街がアプリになる」というものです。水道、電気、ガスなどのインフラや行政のサービスなど、あらゆるコンテンツをアプリ化し、個人が自由に選択できるような街づくりを目指しています。その中でも私が担当しているのは、モビリティと呼ばれる人や車両の移動に関する研究です。街全体のあらゆる場所にセンサを配置し、シニアカーなどの電動車両を安全に走行させるための研究を行っています。現在は車両自体に追突を防止する機能を備える方が一般的です。しかし、車載機器の性能を上げようとすると車両の価格が高騰してしまうデメリットがあります。街全体を一つの大きなセンサのようにできれば、車両の機能に関係なく安全で快適な街を実現できるのです。

後輩と得られたデータについてディスカッション
難解な考察は新熊亮一先生に相談

 

 

モビリティの安全性を確保する上で鍵となるのが、街全体に配置する装置の性能です。使用するのはレーザーを照射して反射したデータを読み取り、対象物との距離や形などを計測するLiDARという装置です。カメラの画像だけでは3次元の立体的なデータを取得することができません。正確な情報を得て車両の安全走行を実現するためには、このLiDARの性能がポイントになります。データを取得する際はシニアカーのタイヤの摩擦やバッテリー残量の変化に伴う微細な減速にさえ影響されてしまいます。とても繊細なデータになるため、適切に解釈することに苦労します。考察で行き詰まった際には新熊亮一先生に相談しますが、先生は学生を最大限に尊重してくれて、何か議論をする時でも頭ごなしに否定することはしません。誤りがある場合でも冷静に、優しい言葉を選んで助言をしてくれます。こちらが上手く理解できなかった部分は、より噛み砕いた表現で説明してくれるので、とてもありがたいです。学生の話を最後まで聞いた上で的確なアドバイスをくれるので、本研究室では主体性のある研究活動ができるのだと思います。

私は現在、総務省所管の国立研究開発法人である情報通信研究機構(NICT)での研究にも参加し、さまざまな観点からスマートシティの実現に向け活動しています。子どもの頃から好きなことにはとことん没頭する性格なので、研究で忙しい日々が幸せです。取り組む中で新しい発見があった時には、何ものにも代えがたい喜びがあります。その瞬間を味わうことが、研究の醍醐味かもしれません。今後の進路としては博士(後期)課程へと進み、現在携わっている研究を実用化に向けさらに突き詰めたいと考えています。満足がいくまで研究活動を行えるのは、支援してくれている両親のおかげです。学んだことを生かし、いつの日か研究の成果として恩返しができればと思っています。