インタビュー
起業の夢を叶えるために、 コーヒースタンドHINACOを設立。
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HINACO代表 理工学研究科修士課程 システム理工学専攻2年 片山 陽和太さん
私が起業を志したのは中学生の時でした。元々、自分は組織に所属して働くのが向いていないと感じていたのですが、高校生になってビジネス関連の実用書を読み漁ったことで、さらにその想いが強くなりました。大学へ入学してからは友人たちにも起業の夢を語り、学部3年になったのを機に第6回芝浦ビジネスモデルコンペティションに参加しました。
私が所属している社会システム科学研究室は、システム工学と社会課題の解決という2つの軸が交差するテーマを扱っています。最近、システム工学をものづくりだけでなく、サービスのような目に見えないことづくりに適用することが注目されています。そのトレンドを背景に、データサイエンスとコーヒースタンドを融合するというアイデアから「HINACO」が生まれました。コーヒースタンドを選んだのは、流通から仕入れ、販売、サービスなど、ビジネスのさまざまな要素が凝縮された事業に挑戦したかったからです。さらに、コロナ禍を体験して、同期や先輩と学内で交流することの素晴らしさを改めて感じました。学生がキャンパスで過ごす時間を充実させたいと考えたことも、「HINACO」を立ち上げた理由の1つです。「HINACO」で目指したのは、お客様一人ひとりにサービスが最適化されるコーヒースタンドです。カスタマイズの履歴からおすすめをレコメンドしたり、近くにいるお客様に来店を促したりするなど、大手コーヒーチェーンが手がけてない、小回りのきくサービスの提供を目指しました。キッチンカーの機動力も強みです。
コンテストでは最優秀賞を逃して企業賞となりましたが、受賞することがゴールではありません。「HINACO」を企画書で終わらせずに、ビジネスとして立ち上げることを目標にしていたので、そこからが大変でした。会社設立の手続きや資金調達など、短期間にさまざまな経験をする中で、知識やスキルはもちろん、忍耐力や粘り強さが身に付きました。でも、そのスピード感にビジネスの面白さがあります。基礎研究は社会実装して成果が出るまでに何十年もかかりますが、ビジネスは努力すれば半年から1年でアイデアが形になって、結果を出すことができる。さらに、実学のプラットフォームとして多くの学生が参加し、ビジネスを経営する現場を体験してほしいという想いも「HINACO」に込められています。私が学部・大学院と過ごして感じた芝浦工業大学の特長は、ユニークで高いポテンシャルを持った学生がたくさんいることです。「HINACO」が技術と社会の接合点としてキャンパスの賑わいに貢献するだけでなく、後輩たちが何か面白いことをやってみよう、と思い立つきっかけになれたら嬉しいですね。技術者として最先端であるだけでなく、ビジネスにおいても即戦力として力を発揮する人材になってほしいと考えています。
今後はデータサイエンスに強いコンサルティング企業で働きながら、副業として「HINACO」を発展させていきます。