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いざフライト。多くの思いを 乗せた機体を琵琶湖の大空へ。

工学部 電子工学科3年 八田 浩平さん

人力プロペラ機の設計、製作、飛行に挑む「Team Birdman Trial(以下TBT)」の部長を務めています。毎夏、滋賀県の琵琶湖で開催される「鳥人間コンテスト選手権大会」への出場と、そこで成功飛行し好成績を収めるのがTBTの目標であり念願です。

3年前はエントリー時の書類選考で通過に至らず、一昨年は新型コロナウイルスの影響で大会が中止となりました。昨年は感染対策の活動制限がある中、懸命に機体製作に取り組みましたが完成が間に合わず無念の出場辞退。ここ数年TBTは辛酸をなめており、今年こそはという並々ならぬ思いがあります。TBTとしても私個人としても積み重ねてきた努力を必ず形にしたい。成功飛行を果たし、先輩方の雪辱を遂げたいという気持ちが強いです。そして、今年はすでに第一関門の書類選考を通過(令和4年6月現在)し、現在は本大会に向けた準備に邁進中。休日のほとんどの時間を大宮キャンパスのガレージでの活動に費やす日々です。100人を超える部員が目標を一つにして作業に没頭しています。
TBTは大学の部活動ですが鳥人間コンテスト出場というミッションを成し遂げる一つのプロジェクトであると私は考えています。プロジェクトを推進していく上で部長の役割には様々な難しさがあります。例えばきめ細かい情報共有がその一つ。気持ちを一つにするには把握する情報レベルも合っていなければなりません。高いクオリティの機体で好記録を出すには作業でのわずかな認識のズレが致命傷になりうるため部長として細心の注意を払っています。TBTは過去資料や機体データを引き継いでいますが、知識と経験がなければ理解が難しいものもあります。1年生部員に対しては専門用語を使わず、なるべく分かりやすい言葉で伝えています。

人力プロペラ機は機体が大きく飛行もダイナミックに見えますが、メカニズムは繊細で、それゆえに製作工程は非常に精緻な作業です。言い換えると「地道」。空気抵抗の少ないフラットな表面を成形するためにサンドペーパーを使った研磨で微調整を繰り返します。部員の根気とモチベーションの維持も部長の仕事です。各製作班のミーティングを頻繁に行いますが、佳境に迫ると各部員が不安などから発言を躊躇しがちになり濃密な議論にならないことがあります。恐れず活発に意見を出し合えるよう働きかけ、メンバーに積極的に話を振っていくよう心がけています。
TBTの部長を務めたことで計画を主体的に進めていく力が鍛えられ、メンタルが強くなったと感じます。そこが成長できた部分です。実は私は入部するまでは鳥人間コンテストへの憧れや飛行機、航空工学への興味はさほど持っていませんでした。軽い気持ちで入部した自分がここまで夢中になってしまったのは、飛行機製作への「ロマン」に気づいたからです。TBTには最大級サイズの機体で大会出場に挑戦する伝統があります。今年は主翼が過去最長の約40m。各パーツが組み合わさった機体の全貌は壮観です。テストフライトで初めて宙に浮くシーンは言い表せない喜びと感動があり、メンバー全員でこの瞬間を迎えられることがTBTの醍醐味だと感じます。
先輩やOBの方々にもお忙しい中、協力していただいています。経験豊富で課題をクリアしていく厳しさを知っておられるので具体的で詳細なアドバイスや、時には叱咤激励をいただくこともあります。大会が近づくにつれて不安や焦りも正直ありますが、多くの方々に支えていただいているのは心強いです。必ずやTBTの歴代最高記録(6,625m)の更新とその先にある優勝を掴み取りたいと思います。チーム一丸で多くの人の想いを乗せた機体を琵琶湖の大空に羽ばたかせます。 (2022年6月インタビュー時点の進捗) 
※大会側から掲載許可済み