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東日本大震災での経験をグローバルな防災研究に生かしたい。

大学院 理工学研究科修士課程 システム理工学専攻1年 藤澤 青葉さん

私は中学生のときに東日本大震災を経験しました。宮城県仙台市の出身で、沿岸部の宮城野区にある実家は幸い大きな被災を免れましたが、母の実家や中学校が津波の被害を受けたことから自然災害のもたらす脅威が強く記憶に焼き付いています。その後、地元が復興していく過程や被災した土地の利用、集団移転を余儀なくされた住民の暮らしを自分自身の目で見ることで問題意識を持つようになりました。被災は辛く悲しい経験でしたが、その後の私の学びや行動に大きく影響を与えています。芝浦工業大学で大学院へ進み、いま環境基盤研究室で取り組んでいる防災・復興の取り組みを定量的に評価するサステナブルな指標づくりという研究テーマにもつながっています。

2015年に仙台市で開催された「第3回国連防災世界会議」において、災害リスクに対する「仙台防災枠組」が策定されました。同年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発のための国際的な開発目標)と同様に、2030年までの達成を目標にしています。「仙台防災枠組」に掲げられたのは文章で表現された定性目標でした。これを数値化して定量的な評価や比較ができるようにし、自治体のシステムや政策評価に組み込んでいくことが、私の研究テーマです。

この研究には防災と、被災後の復興という両面からのアプロ―チが必要になります。20年後、30年後までを見据えた持続可能な街づくりを考える際には、自然を活用した生態系減災なども組み入れ、次世代に継承していくことが重要です。さまざまな知識が必要となり、苦労することも多いのですが、自分が成長するステップだと思えば、それが大きな魅力になります。
私が芝浦工業大学を志望したのは、専門領域だけにとらわれずに分野横断的に学習できる教育体系があったからです。環境システム学科の学びは「都市」、「環境」、「建築」の3つの分野から混成されています。防災は災害を防ぐだけでなく、街づくりや生態系など幅広い分野に関連する複雑な社会課題です。それらを立体的に学んだうえで、「都市」、「環境」、「建築」の専門分野に進めるのは、広い視野と知見のもとに課題に取り組むことができると思っています。

いま、私は大宮キャンパスのGLC(Global Learning Commons)にスタッフとして参加しています。ここはとても居心地のいいオープンな場所で、芝浦工業大学が推進しているグローバルな教育の象徴です。コロナ禍で留学できない状況が続いたにも拘らず、みんなが問題意識を持ちながら協力してイベントや交流を行っています。学部2年生のときにグローバルPBL(Project Based Learning)でドイツに行ったのが私にとって初めての海外経験です。ドイツはSDGsの取り組みにも先進的で、滞在中に多くの刺激を受け、海外に関わる仕事に興味を持ちました。
日々の学業に対する取り組みとしては、大宮キャンパスの図書館によく足を運びます。環境システム学科の学部生のうち2番目に多く本を借りていたことを知って驚きました。毎年100冊以上を借りており、専門外の世界に関心を持ち、豊富な知識を身につけられたのは図書館のバックアップのお蔭です。

大学院に進学してから、有限の時間を最大限に活用し、価値あるものにしなければと思うようになりました。できれば現地に行って調査研究するだけでなく、NPO法人を設立して地域との関わりを深める活動をしたいと考えています。将来は海外で経験を積みながらより深い知識と技術を身につけ、グローバルな視点を持って地域の防災や復興に還元できる人材になることが目標です。